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約束の行方 (1) [小説: 約束の行方]

誰にでも、少なくとも一つくらいは、できることなら削り取ってしまいたい過去があるんじゃないだろうか。
もしも自分の過去に一つも悔いはないと言い切れる人がいるのなら、私はその人を心から尊敬する。そんな人になりたいと心から願う。
そもそも、私の人生は後悔でできている。いや、むしろ後悔そのものだ。
飲みすぎた翌日の二日酔いとか、色物を分ける手間を省いたために洗濯機でシャツを赤く染めてしまうこととか、数値の入力間違いで上司にこっぴどく叱られた大失敗とか、寝坊して大遅刻して友人を怒らせたこととか、たくさんの後悔を積み上げてきた。
でも、それらは削り取りたい、というほどの出来事ではない。過去は過去として流してしまえる程度のこと。
削り取ってしまいたいのは、あの日の私。
永遠に許されることのない、私の罪。
その罪を償うために、私は生き続けている。たとえ生きることがただの苦痛であっても、この先絶望するようなことが起こったとしても、絶対に自ら死を選ぶことは許されない。


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